加齢性黄斑変性

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「視界の中心がゆがんで見える」「見たいところが暗くなって見えにくい」
眼科で「加齢性黄斑変性(かれいせいおうはんへんせい)」と診断され、不安な日々を過ごされていませんか?

加齢性黄斑変性症は、現在日本において視覚障害の原因の第4位とされており、高齢化に伴って増加傾向にある眼科疾患です。西洋医学においては眼球内への注射やレーザー治療などが用いられますが、それらは「進行を食い止める・遅らせる」ことが主な目的であり、根本的な完治が難しいとされています。

「このまま視力が落ちていくのを待つしかないのか…」と諦める前に、東洋医学(中医学)の視点を取り入れてみませんか。
東洋医学では、目は単独で存在しているのではなく、五臓六腑(内臓)と深く繋がっていると考えます。全身のバランスを整えることで、目の栄養状態を改善し、病状の進行を抑えたり、症状の緩和を目指す鍼灸治療のアプローチについて詳しく解説します。

目次

西洋医学から見た加齢性黄斑変性(萎縮型と滲出型)

西洋医学において、加齢性黄斑変性症は大きく「萎縮型」と「滲出型(しんしゅつがた)」の2種類に分けられます。

  • 萎縮型: 50才以降に好発し、両目に起こりやすく、ゆっくりと慢性の経過をたどります。現在のところ西洋医学では確立された治療法がありません。
  • 滲出型: 日本人に多いタイプで、片目での発症が多く見られます。網膜の下に異常な血管(新生血管)ができ、そこから血液や水分が漏れ出して黄斑部がむくんだり出血したりします。眼球内注射(抗VEGF療法)などで進行を抑える治療が行われます。

東洋医学から見た「加齢性黄斑変性」とは(暴盲)

伝統的な東洋医学の分類では、外からは異常が見えないのに突然視力が低下する状態を「暴盲(ぼうもう)」と呼びます。現代医学における網膜硝子体出血や眼底出血、血栓などによる視力低下がこれに相当します。

専門書である『中医眼科学』においては、この疾患に対して以下のような多様な原因分類(弁証)がなされています。当院では、患者様のお体がどのタイプに当てはまるかを見極め、治療方針を決定します。

東洋医学における6つの原因(証)とメカニズム

1. 肝腎の弱りと熱(肝腎虧損・陰虚火旺・肝陽上亢)

東洋医学では、「物を見るときに陽の性質である『光』が目に入ってくるため、その受け皿となる『陰』の力が必要である」と考えます。
目は主に「肝」と「腎」から供給される栄養(陰の性質)によって養われています。加齢や目の使い過ぎでこれらが消耗すると、光を受け止める力が弱まります。さらに陰が不足して相対的に熱(陽)が過剰になると「陰虚火旺」となり、目の炎症や出血を引き起こしやすくなります。

2. 胃腸の弱りと水分の停滞(脾気虚弱)

胃腸(脾)は、体内の水分を処理する「運化」と、栄養を上部(頭や目)に持ち上げる「升清」という機能を持っています。
脾が弱ると、目の周囲の水分がうまく処理できずに黄斑部がむくんだり(滲出型の要因)、目という一番高い場所にある器官に栄養が届かなくなります。胃腸が弱い、疲れやすい、むくみやすい方に多いタイプです。

3. ストレスや疲労による血流の滞り(気滞血瘀・気虚血瘀)

目は非常に細かい血管(微小循環)が張り巡らされている器官です。日常的なストレスで気の巡りが悪くなったり、慢性的な疲労でエネルギーが不足したりすると、血液を押し出す力が弱まり、目の周囲に古い血がドロドロと滞ってしまいます(血瘀)。この血流障害が、網膜の栄養不足を引き起こします。

4. 飲食の不摂生による老廃物の詰まり(痰熱阻絡)

脂っこいもの、甘いもの、お酒などの摂りすぎで胃腸が処理しきれなかった汚れは、東洋医学で「痰熱(たんねつ)」と呼ばれるヘドロのような老廃物に変わります。
これが目の経絡(気血の通り道)を塞いでしまう状態です。ドロドロとした老廃物が目の正常な働きを邪魔し、見えにくさを助長します。

5. 強い怒りやイライラによる気の逆上(肝火上炎)

激しいストレスやイライラ、怒りなどの感情は、気や血を頭部(上部)へ一気に突き上げさせます。高血圧の方などにもよく見られる状態ですが、東洋医学において「肝」は「目に開竅(かいきょう)する(=目に繋がって働きが現れる)」とされ、目と非常に深く関係する臓腑です。そのため、上へ突き上げた肝の熱が目を激しく攻めることで、様々な目の不調が発症します。

6. 全身の極度なエネルギー・栄養不足(気血両虚)

長患い、過度の過労、あるいは加齢そのものによって、全身を動かすエネルギー(気)と、体に栄養を与える(血)がどちらも慢性的に不足している状態です。エネルギーや栄養を目という体の上の方にある場所まで持ち上げられなくなり、栄養されないことから視機能全体が緩やかに低下してしまいます。

なぜ当院の「少数鍼」が目の疾患に適しているのか?

実際の臨床現場では、上記の原因が一つだけではなく、複雑に絡み合っている場合がほとんどです。
西東京市ひばりヶ丘の「鍼灸梅庵」では、北辰会方式に基づき、詳細な問診と体表観察(脈・舌・ツボの反応)から根本原因を的確に見極めます。

目の周辺に直接何本も鍼を打つようなことはいたしません。乱れたバランスを一発で調える「最も的確なツボ(手足や背中など)」を厳選し、原則として少数の鍼(1〜2本)で全身の治癒力を底上げします。弱った「陰(肝腎)」を補い、水分代謝(脾)を整えることで、病状の進行を穏やかにし、見えやすさの改善を図ります。

【当院の症例】60代女性・視界のゆがみと眼精疲労

【患者様】 60代 女性
【お悩み】 既存の患者さん。片目が「滲出型加齢性黄斑変性」と診断される。眼科で今後抗VEGF薬の眼球内注射を受ける事になると言われる。視界の中心のゆがみ(変視症)があり、見えにくさや注射に対する恐怖もあり久々に来院。

【東洋医学的見立て(証)】
デリケートな体質であり、加齢による腎虚と気滞血瘀と弁証。

【治療と経過】
眼科での検査を定期的に行いつつはじめは週2回で来院。鍼の後は直後的に目の見えが良くなる。状態は安定しており、スケジュールなどを鑑み週1回の来院に本人判断で変更。その後10日に一回のペースで来院。2年ほどで眼球内注射を行うことになるが、継続来院することで経過は良好。読書などでのストレスは感じるものの、日常生活の質(QOL)は大きく損なわれることなく、現在も目の状態の維持と全身のケアのために前向きに通院されています。

よくある質問(FAQ)

Q. 病院で抗VEGF薬の注射治療を受けていますが、鍼灸と併用できますか?
A. はい、問題なく併用していただけます。西洋医学の注射で局所の異常な血管の増殖を抑えつつ、鍼灸治療で「なぜ目に負担がかかっているのか(体内の水分代謝の滞りや栄養不足)」という根本的な体質を改善していくことは、進行予防において非常に相乗効果が高いアプローチです。
Q. 鍼灸治療で加齢性黄斑変性は完全に治りますか?
A. 網膜の器質的な変性を完全に元に戻す(完治させる)ことは西洋医学・東洋医学ともに困難なのが現状です。しかし、鍼灸によって全身の気血の巡りを良くし、目の栄養状態を改善することで、「進行を穏やかにする」「見えにくさによる眼精疲労やストレスを軽減する」「残存する視機能を最大限に活かす」という点において、確かなサポートが可能です。
Q. 目に直接鍼を刺すのですか?
A. いいえ、目の周りや眼球に直接鍼を刺すことはありません。東洋医学では全身が経絡(気血の通り道)で繋がっていると考えます。そのため、手足や背中、お腹などにあるツボを使って、全身のバランスを整えることで目にアプローチします。

まとめ:全身を整え、目の健やかさを守るために

「目」は五臓六腑の健康状態を映し出す鏡です。目に異常が現れたということは、全身のエネルギーや水分のバランスが崩れているという体からのサインでもあります。

加齢性黄斑変性による視力低下の不安や、目の見えにくさからくる慢性的な疲労・ストレスでお悩みの方は、局所だけでなく全身を根本から整える東洋医学の力を頼ってみてください。一人で悩まず、ぜひ一度ひばりヶ丘の伝統鍼灸「鍼灸梅庵」にご相談ください。